2008年09月27日

最近の色々な出来事についての雑感


上のニュースについて。この人ほどサプライズという言葉が似合う政治家もいないのではないでしょうか。このタイミングでの引退はさすがというしかない。空気の読み方、マスコミがどういう反応を示すかについての嗅覚は随一ですね。麻生首相が誕生して、自分の政治路線が否定されたと感じるや否やの引退表明。悪い論調が起こるよりも先に「影響力を保ったまますごい政治家がいなくなった」という印象を植え付けることに成功しています。

よく、できる人は飲み会の席でも一次会で颯爽と帰るなんていわれていますが、政治の舞台でそれを実践しているのが彼ということなのでしょうかね。卑近な例すぎますかね。しかしこれでいきなり次の東京都知事選などに立候補したら、瞬殺でその座を射止めるような気がしますがね。

さて。小泉元首相の話題もそうですが、最近は気になるニュースが多いのでまとめて雑感をば。

▼メラミン混入事件
発端は中国産の粉ミルクにメラミンが混入しているというニュースでした。もうすぐ子供が生まれる身ですので、こういう事件には敏感にならざるを得ません。

中国では日本の食品企業もどんどん進出して、新しいマーケットで商品を展開しています。工場も原材料も労働者も中国国内調達が基本ですから、生産工程の管理がより一層重要になってきます。今はちょっとしたことでも「中国での食品不祥事」というだけで、致命的なブランド毀損クライシスにつながってしまいますので。

日本でも丸大食品のパン類にもメラミンが入っていたことが大きく報じられましたが、ブランドイメージへの打撃は軽くはないでしょうね。まあ、あのパンダの顔のお菓子は、メラミンの有無に関わらず、あんまり食欲をそそられませんがね。

▼麻生首相の誕生
ローゼン閣下、四度目の正直。次はいよいよ小沢さんとの最終決戦ですね。ただ早くも自公合わせて過半数超えが勝利ラインと言われているらしく、非常に激しいボコリ合いが予想されます。うまい酒が飲めそうで楽しみです。結果次第で公明党が枕政党めいた真似をするんでしょうかね。

それにしても与謝野さんが負けてしまって非常に残念…。今度の総選挙でもなんとなく宿敵・海江田氏に負けてしまいそうな…なんというか、死相が見えます(比例で復活当選するのだろうけど)。

▼H&Mの上陸
いまだに平日も一時間待ちだとか。すごいですねー。ユニクロが個々の商品の機能性をメインに打ち出しているのに対して、H&Mは上から下までトータルのコーディネートで商品提案していますね。

店内も良く工夫されていて、同じラインの商品をぎっしり並べるようなことはせず、一点ものっぽく見せている。それであの価格ですから、皆「おおっ」と思ってしまう。エッジの立った服が結構あるのですが、逆にH&Mの服が誰かとかぶっているのって、ちょっとかっこ悪い気がして嫌ですね。ものは良いのですけどね。

そういえば、うちの奥さんが「クリスピー・クリーム・ドーナツが20分待ちで買えるようになった」と言っていました。行列好きの日本人ですが、この北欧生まれのファッションブランドは、どのくらい人気が持続するのでしょうか。

▼身の回りのできごと
うどんがすごく好きなんです。この間会社の人に教えてもらって、うちのすぐ近くにうどんの名店があることを知り、行ってみました。これがとんでもなくうまい。年老いたご夫婦がお世辞にもきれいとはとても言えない狭いお店を構えてやっているんですが、出てくるうどんはあの海原雄山先生でも瞠目して一気食いするのではと思えるような、それはそれはレベルの高い一杯でした。さぬきうどんなんですが、のどごしが良くコシのある麺とまろやかで塩加減の絶妙なかけつゆ。無我夢中で食し、ふと気がつくとまだ5分と経っていなかったという、そんなうどんでございました。うまし。

そのおいしさが忘れられず、最近いろいろな店に入ってはうどんを食っています。この間昼間に寄った立ち食い蕎麦屋でも、冷やしたぬきうどんを大盛りで注文いたしました。これが想像を絶するようなまずさで、一口うどんをすすって、あまりの歯ごたえのなさと業務用感丸出しの単調な味付けに暗澹たる気持ちになりました。どんぶりで店主の頭をかち割ってやろうかというくらいの怒りを覚えるとともに、立ち食い蕎麦屋でうどんを、しかも大盛りでたのんでしまった自分に対しても、情けない気持ちになってしまいました。

家でもうどんをよく作って食べますが、麺は生より冷凍がおすすめです。余計な水分を含んでいませんので、しっかりとコシのある仕上がりになりますよ。

最近気温がぐっと冷え込んできました。あれだけ活躍してくれた扇風機も今やお払い箱。皆さんも風邪などにお気をつけ下さい。それでは。
posted by サイダー at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月13日

新司法試験についての雑感


上のニュースについて。「9.11」と聞いて、意味の分からない人はいないと思います。あれからもう7年も経つのですね。

たまたま聞いていたラジオで、繰り返しアメリカで何か事件が起きたことを伝えていたので、テレビをつけてみると、世界貿易センタービルが崩れ落ちるあの映像。何度も何度も見ているうちにどんどんSFでも見ているような感覚になったのを覚えています。

翌日は山形の実家に飛行機で帰ることになっていたのですが、当然ながら空港は物凄い警戒態勢。武装した警官が隅々まで配備され、日本ではないどこかになっていたのが思い出されます。

あの事件に起因して生じた憎しみの炎は、今もイラクやアフガンで燻ぶり続けている。そしてあの事件もまた、アフガン、パキスタン、サウジアラビアの抱えていた憎しみによるものなのかもしれない。彼らがなぜ憎しみを抱くのかと言えば、それはロシアやイラン、アメリカ抜きには語れない…。「憎しみの連鎖」という言葉がよく言われます。それは親しい人が殺されたから、殺したやつを殺すというようなレベルではない。その人、その国に刻まれた歴史に深く根を張った問題であるがゆえに、この問題はもはや解決ができない。

諦観しつつも、彼らの憎しみを遠くに感じることはしたくない。憎しみに共感すべく、世界史を学び直す日々です。

さて、今回は文章長いです。土佐礼子のように脱落する方もいらっしゃるかも…

今年の「9.11」は新司法試験の合格者発表の日でもありました。「法曹の質」問題を比較的熱心に取り上げている朝日新聞ではこんな記事内容でした。

法務省は11日、法科大学院(ロースクール)修了者を対象とした08年の「新司法試験」の結果を発表した。3回目の今年は、74校の6261人が受験し、2065人が合格。合格率は33%で前年の40.2%を下回り、2回連続して下がった。3校では合格者がゼロ。法務省が設定した合格者数の目安(2500〜2100人)も下回った。 「法曹の質の低下」に対する懸念が相次ぐなか、10年までに合格者を毎年3千人に増やす政府の計画をめぐる議論にも影響を与えそうだ。(以上、9/11朝日新聞ネット記事より抜粋)

わしの友人たちは果たしてどうだったのでしょうかねえ。受かっていると良いけど、33%だから間違いなく何人かは不合格でしょう。まあそれはそれとして、これはやっぱり「法曹人口の急拡大に反対」である弁護士会側に追い風となるのでしょうか。

先日、といっても7月ですが、この論点についての日本弁護士連合会の提言書が出されました。これにはどうも納得できなかった。彼らの言いたいことは、だいたい以下の通り。

法曹の養成は、法科教育・司法試験・司法修習・OJT(実務での訓練)という一連のプロセスで行われる。ところが、
・法科教育では、ロースクールの教育の質がバラバラである
・司法修習は期間も短縮され、また法科教育との有機的な連携(?)も取れていない
・そんな状態で法曹人口が一気に増えると、OJTが最後の重要な育成の場となる
・しかし法律事務所の経営能力の限界もあり、新任弁護士全員にきちんとしたOJTを行うことはできない
・OJTのやりかたも「E-ラーニング」など工夫しているけど、限界がある

…ということで、「司法試験合格者数を増やし、2010年に3000人にするという構想はよろしくない」と、そういう話でした。

彼らがこういうことを言うその根底には、「法曹の質が低下している」という論点があります。「法曹の質」とは、日弁連側によると「人格識見・法実務能力・法創造能力・事務所経営能力・公益活動意欲」の5つらしいです。そして、新司法試験を合格した人たちは、仕事をする上で必要最低限度の法的知識や法的理解力が低下していることが「指摘されている」らしいです。

そういう能力の低い法曹が世に溢れてはいけないから、法曹の質がきちんと担保されるようになるまで、無理に法曹人口を拡大するのはやめましょう、と言いたいわけですね。

わしの感覚からすると、「何を耄碌したようなことを言っているんだろう」という気になります。

まず、新司法試験を合格した人たちの法的知識の不足について。これは「誰に」「指摘されている」のでしょうか。クライアントが「全然わかってないね」と指摘しているのか、刑事訴訟法廷で対峙する検察が「そんなことも知らんのかね」と指摘しているのか、傍聴人が「この弁護士バカだ」と指摘しているのか。別に誰も指摘していないと思います。さも第三者が言っているように主張しているけど、結局は自分たちがそう思っている、そう思いたい、そんなレベルじゃないでしょうか(新聞が勝手に「世論が許さない」とか書いてるのと同じレベル)。

これがもしも、一斉に調査をして、統計上有意な結果として上がっていれば話は別ですよ。そういうこともなく、「n=1」的な話で、しかもマッチポンプなわけですから、なんと卑怯なのだろうと思ってしまうのです。逆に旧試験を受けてきた人たちは、法的知識は完璧だったのでしょうか。そんなことはないと思います。誰だって新人時代は未熟だし、上の立場から見れば「全然なってない」と思うこともあるでしょう。

はっきり言ってしまうと、その新人が「同じ旧試験を通った後輩」であるのと「(苦労した)自分たちとは違う(楽な)ルートで来たやつら」であるのとで、バイアスのかかり方が違っているだけではないのでしょうか。要は身内に甘い、と。

もうひとつ気になるのは、残りの「人格識見」「法創造能力」「事務所経営能力」「公益活動意欲」に関して。素人ながら申し上げたいのは、この能力に関しては旧試験組より新試験組の方が上なのではないかということです。というのも、新試験から弁護士になる人には、普通の民間企業から転身してやってきたような人がいっぱいいるからです。

わしは法学部を出ているということもあり、弁護士やっている人も結構知っております。今は会社勤めですので、社内外の企業人もたくさん知っている。「n=1」的な比較をさせていただくと、「人格識見」は弁護士の方が低いと思います(失礼ながら)。特にコミュニケーション能力と、世の流れを把握する力ね。これは話してみると如実にわかる。弁護士の方は往々にして、自分の土俵でしか話をしないのですな。

「事務所経営能力」はどうでしょうかね。駆け出し弁護士の状態をもってして旧試験組と新試験組を総体的に比べれば、企業出身者の多い新試験組に分があるのは明らか。択一・論文の勉強ばかりやっていた旧試験組の若手弁護士たちは、果たして財務諸表が読めるのでしょうか(B/Sなんて言葉すら知らないかも)。

「法創造能力」についても、企業で実務を経験した人であれば、一度や二度は「業界のこういう縛りがおかしい」とか「特許手続のここが現実的じゃない」とか、考えたことがあるはず。法を解釈し、新しい構成から論点を解決することに加えて、現実に法を変えていくポテンシャルも、相対的に高いのではないでしょうか。

「公益活動意欲」も、これは今の時代のせいもあると思いますが、圧倒的に旧試験組が劣るでしょうね。むしろゼロに近いんじゃないのかな(また怒られるようなことを…)。若い人たちがNPOにどんどん就職する時代。企業の対社会への姿勢が、メセナからCSRに捉えなおされた時代。公益活動の原動力は、むしろ経済界にこそある。これまで法曹が自分たちの仕事の範囲を超えて、組織として社会貢献を行ったことがあったでしょうか(また独立性が大事とか反論するのかな)。新試験組はきっと、法曹と社会との関わり方自体を変えてくれるだろうし、わしは少なくとも、それを期待しています。

ということで、まとめますと、
・法曹として最低限必要な法的知識が新試験組に欠けているかは疑わしい
・ていうかマッチポンプであり、身内に甘いだけである
・残りの素養に関しては、むしろ新試験組の方が優れているような気がする
・というわけで、法曹の質は低下していないんじゃないか
・以上より、別に法曹人口拡大に歯止めをかける必要はないんじゃないかと思う

てな感じでしょうか。

国民に圧倒的な支持を得た小泉首相が規制緩和路線に踏み切ってからしばらく経つと、そのときに鳴りを潜めていた勢力が、雨後の筍のように出てきては、ああだこうだと言い始めますね。この件に限らず。

規制緩和の真髄は「ダイバーシティ」であり、「利用者に自由に選んでもらう」ということ。日弁連の提言書で最も納得がいかなかったのは、彼らの提供するものは「サービス」であり、何が良くて何が悪いのかを決めるのは、その利用者であるという視点がごっそりと抜け落ちていたことです。結局は「殿様商売を一緒にやるのにふさわしい仲間かどうかは、俺たちに決めさせろ」という、業界視点での話に過ぎない。

いやあ本当に、弁護士って素敵な職業だと思いませんか?
posted by サイダー at 02:06| Comment(2) | TrackBack(6) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月10日

自民党総裁選についての雑感


上のニュースについて。秋冬の東京ガールズコレクションが先日開かれました。AFPに取り上げられているということは国際的なニュースとなっているわけで、これはすごいことです。

かくいう私も先日行ってまいりました。新聞を読むと、コレクションでモデルの身に着けているアイテムは、その場で携帯向けサイトを通じて買うことができ、イベント中にあっという間に売り切れるという風に書いてある。「それはとんでもないことだ、きっとショーが始まるなりみんな一斉に携帯をいじり始めるのだろう」と、そういう光景を期待していたのですが、わしの座っていたあたりでは、ほとんど携帯を操作している人はいなかったね。でも結局今年も完売なんだそうで。きっとキャットウォーク付近のプレミアム席に座っている熱烈なファンたちが買っているのだろうね。

ひとつ思ったのは、今回のモデルの一人として出演していた土屋アンナさんについて。今まで特に意識したことはなかったけど、あの人はすごいね。歩き方、ポーズのとり方、顔の表情、ひとつひとつがまさにプロでした。どの瞬間にどのパーツを切り取っても、ちゃんと絵になると言うか。一部の油断も隙もなく、絶えず緊張感を持って場に望んでいる感じがします。他のモデルももちろん素敵でしたが、彼女は身体から放つオーラが別格でした。キメラアントの「王」クラスです、はい(わかるかな…)。

それにしても会場に押し寄せた女性の数たるや。東京にはこんなに女の人がいたのかと思わんばかりです。今年一年分の女性を見ましたよ。

さて。

巷では自民党総裁選と、大相撲の薬物問題、二つの「麻」で盛り上がっていますね。そんなに連日大麻の話を報じなくても良いのになあと思ってしまいますが、日本相撲協会という、悪役イメージの付いている組織が相手ですので、マスコミのボコり方も半端ないですね。

あれほど大麻はインドで吸えと言っているのに…禁を犯してまで吸いたくなるほど大麻というものが良いのかどうかが、本当にわかりません(かつての記事「大麻にまつわるエトセトラ」参照)。

自民党総裁選のほうは、まあマスコミ対策がうまく行っているなあと。民主党は完全に持っていかれましたね。個人的にも総裁選、非常に楽しみです。総裁選のあと速やかに総選挙という流れがもっぱらのシナリオとして言われていますが、そうなると、我が家で選挙速報を肴に酒を飲むという、素敵な宴会が催されるからです。今年は部屋もテレビもちょっとワイドになっておりますので、これは相当期待できます(かつての記事「泡沫NIGHT2007」参照)。

わしとしてはここはぜひ与謝野さんにがんばって欲しいんですけどねえ。政策通のいぶし銀な雰囲気が前々から「良い!」と思っていたのですが、ついに彼が立ちました。消費税の引き上げ、大賛成です。上げ潮派も民主党の案も悪いとは言わないけど、どこまで信じて良いものか。財政縮小とか、政府のカネの使い方で削り取れる部分は削ってもらいたいけど、それがそのまま福祉の財源を充当しうるのかどうか。経済成長を追及するために減税を行っても、大企業を潤すのみ。その大企業はアジアなど海外に活路を求め、日本の中でカネが回らない。景気の底上げにどれほど寄与しうるのか。

というわけで与謝野さんを応援するのだけれど、彼が総裁になって、そのまま選挙に突入となると、どうも小沢民主党に勝てないような気がする。失礼ながら、アピール力があまりにもなさそう。もしかしたら小選挙区では自身の当選も危ないかもしれない。かつて東京一区で民主党の海江田万里に二度も敗れ去っており、前回の総選挙では大勝したものの、それとて小泉旋風が吹き荒れる中での出来事。そうでなかったら果たしてどうであったか…。

与謝野さんなら選挙中消費税引き上げにも言及することは必至で、さらに状況は厳しい。消費税構想をぶちあげた竹下内閣と、5%への値上げに踏み切ろうとした橋本内閣は、どちらも選挙で見事に爆死していますからね。よほど麻生さんや小池さんが総裁になったほうが勝てそうな気がする。

与謝野さんと囲碁仲間でもある小沢代表が、手心を加えてくれれば或いは…。まあ有り得ませんね、ただただ祈るとしましょう。
posted by サイダー at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

山形県の加茂水族館についての雑感


上のニュースについて。こういう臨場感溢れる体験モノのアトラクションはぜひやってみたいですね。アメフトとかラグビーをテレビで見ていて思いますが、ぜひ誰かの頭部に小型カメラを取り付けて、その映像を流して欲しいものです。

さて。

水関連の話題というわけではありませんが、今回は水族館がテーマ。久々に地元山形県のネタです。

山形の日本海側、加茂という地域に「加茂水族館」というそのまんまのネーミングの水族館があります。最近、とある試みを初めて、一躍全国的に有名になりました。この水族館はわしが幼い頃からもずっとあったのですが、当時のわしは横浜に住んでいるばりばりのハマッコ(自称)。油壺マリンパークやら八景島シーパラダイスやら、水族館系の娯楽はだいたい体験しており、田舎にも加茂水族館があると聞いても、別に心を動かされたりはしないわけです。

わしもお子様で、「田舎の水族館」なんて、大したものが見られるわけでもない、客もまばらの鄙びたところだろうという、ネガティブなイメージを勝手に抱いておりました。

そして実際、そのイメージは当たっていた。水槽の並ぶ館内も、アシカショーの見られるステージも、土産物コーナーも客の姿はまばら。そうなると一度足を運んだお客さんの気分も萎えて、もうここには来ない、となる。完全に悪いスパイラルに陥ってしまったわけです。本当につぶれる寸前まで行ったんじゃないかと思うのですが、ここで加茂水族館は腹を括った。

「クラゲに特化した水族館」という、すごい方向に舵を切ったわけです。今から10年くらい前のことでしょうか。で、それが大当たり。全国でも珍しい、ここにしかない展示をやっているということで注目が集まり、メディアに取り上げられたこともあって、客足が戻ってきた。今では県でも人気のスポットです。

さすがに気になって、この夏実際にわしも足を運んでみました。夏休み時期ということもあるのでしょうが、クルマで来ている親子連れが多くて、駐車場の空きを探すのも一苦労。館内もそれなりに人がいて、サバやらアジやらサメやらを見ている。アシカのステージも半分以上は立ち見客でしたかね。

そしていよいよメインのクラゲの展示場、名づけて「クラネタリウム」へ(誰がつけたんだ…)。真っ暗な場内に、発光しながら妖しくゆらめくクラゲたち。毒があるやつ、ないやつ、大きいやつ、小さいやつ。種類にして何十種、個体では何百、もしかしたら数千体はいるかもしれない。どういう仕組みで光っているのかは知らないが、まあ綺麗なもんです。

不規則にゆっくりと動いているクラゲたちを見ていると、「このクラゲたちはいったい何を考えて生きているんだろう…わしもクラゲのように生きたいなあ……」と無性に後ろ向きな気分になってくるのはなぜだろう。けれどこんな呑気な彼らが、加茂水族館に再び活気を取り戻してくれたんですねえ。

レッサーパンダの風太で有名な旭山動物園も、お客さんが集まらず苦しんでいた時期に、「動態展示」というこれまでになかったコンセプトを立ち上げ、一気にメインストリームに躍り出た。その水族館バージョンが加茂水族館ということができるのかもしれません。「片山善博教授の講演についての雑感」でも触れましたが、やはり選択と集中。これが必要なのは電化製品業界だけじゃないですね。こんなこと言っては失礼ですが、たかがクラゲというへなちょこな生き物でも、それを束ねて強くコミュニケーションしていけば、そこに突破口が開ける。これってものすごく、いろいろな企業・団体にとって、勇気付けられる好事例のような気がします。

ちなみに加茂水族館の隠れた人気?商品はなんと「クラゲアイス」。細かく刻んだミズクラゲが入っている素敵なアイスです。恩を仇で返すのかと。気になるお味のほうは……ぜひご自身で体験してみてくだされ。
posted by サイダー at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。