2008年12月29日

イスラエルによるガザ地区空爆についての雑感



2008年も残すところあとわずかとなりました。皆様年越しに向けての準備は順調でしょうか?

さて、上のニュースについて。…が、今回の記事の主題です(珍しいですね)。年の瀬にこんな大きな事件が起ころうとは。新聞社などはだいたい年始の新聞はだいぶ前から紙面を作っておくものですが、さすがにこれほどの事件ともなれば、進展があるたびにそれなりの紙面を割いて報じないわけにも行かない。各社はぎりぎりまで対応に追われるでしょう。

またテレビ局もタイムリーに事件の進捗を伝える事になると思いますが、年末年始のどうでもいいような下らない番組が垂れ流される合間にちょこっと「緊迫する世界情勢」が報じられるという、ぬるい感じになりそうです。

半年間の停戦期限が切れそうだというタイミングで、武装勢力ハマスの側から、イスラエルに向けてロケット弾をぶっ放した、それに対する報復、というのが今回のイスラエルによる空爆の意味だという。それで今日現在のところ、300人弱が死亡した、と。

わしはイスラム好きなので、こういう話題は絶対中立的視点を持ち得ないことを前置きしておきますが、やはりこれはイスラエル側を非難したい。

というのも今回の空爆の背景には、イスラエルの政府・与党がパレスチナに対して弱腰ではないことを自国民にアピールするという狙いがあったからです。イスラエル国内では、来年に迫る選挙を前に、パレスチナに対して強硬姿勢を貫くゴリゴリの武闘派野党ファターハに、国民の支持が傾きつつあるという政治的事情があった。「与党もばりばり強硬にやってます。ほら、しっかり爆撃したでしょ」という、国内へのアピールが必要だったというわけです。

まあこれだけ国際的な(冷ややかな)注目を浴びることになれば、国内の支持を集めるという目論見がうまく行くかどうかはわからなくなってきましたね。しかし、仮にパレスチナにいるアラブ人を殺せば殺すほど政権支持率が上がるのだとすると、ユダヤ人というのは常軌を逸した民族と言わざるを得ませんね…。そんな民族はナチスドイツのホロコーストで全員死に絶えてしまえばよかったのに、とは思いませんけど(本当に思ってませんよ!)。

「他民族の人命」を政局の具にする国家が今でもあるという現実。「雇用」を政局の具にしているなどと騒がれている極東の島国なんて、かわいらしいものだと思えてきます。

さてこの問題、1月4日から船出となるアメリカのオバマ政権にとってもいきなりの試練。イスラエル、パレスチナ、その武装勢力ハマス、アラブ諸国とどう「協調」と「対話」していくのか、のっけからとんでもないハードルを突きつけられた格好になります。おそらくは、世界をリードしきれないアメリカの弱体化ぶりが明らかになる、そんな結末を迎えることでしょう。2008年末のアメリカは、経済力を失い半身麻痺。2009年からは国際政治力を失い、いよいよ全身麻痺、というところでしょうか。

ただ、殊パレスチナ問題については、個人的にはアメリカがどうというより、火種を作ったイギリスにきっちり責任を取って欲しい。イスラエルとアラブ陣営の双方に甘い声色で「パレスチナの土地をやる」と出来るはずもない約束をしたのはイギリス。あの約束のせいで、どれだけの血が流され、どれだけの人たちが傷ついたことか。世界史の教科書に載っている「お話」は、今も尚多くの人々を苦しめる問題であり続けている。

今のアメリカがそうであるように、イギリスは一昔前に経済力と国際政治力の両面で失速し、世界の主役から退いた。もはや単独ではパレスチナ問題を解決できる指導力を持ち得ない老いぼれ国家ではありますが、この十字架は死ぬまで背負うべきものでしょう。「やらない」とは言わせないし、言わせるべきではない。

そして日本のスタンスは、これまで通り、中立・傍観がベストでしょうね。どっちかに肩入れする立場にはないし、そんなことよりも国内の景気対策がよほど重要です。悪質な内定切り企業の社名公表基準が云々とか、そんなことはどうでもよいので、足場の悪くなっている分野を中心に大規模な減税措置とか、どんどん講じてほしいもんです。

というわけで、今回はこのへんで。

最後にちょっとご報告。先日我が家に長女が誕生しました。おかげさまで今のところ元気に育っております。夜泣きで睡眠時間を奪われている嫁をサポートすべく、入浴の手伝いなんかをしております。中腰の作業なんかもあって、結構腰が痛いです。我が身の老いを感じさせる年の瀬でございます…。
posted by サイダー at 12:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月10日

やっぱり最近の出来事についての雑感


いつの間にか師走。急に寒くなって参りましたが、みなさま風邪など引いておりませんでしょうか。今年は新型インフルエンザによるパンデミックまでもが想定されており、例年以上に注意が必要です。わしもとりあえず予防接種を一発ぶちこんでもらいましたが、すごく痛いんですよね、あの注射…。しばらく腫れが引きませんでした。

上のニュースについて。トリビューンが破産法を申請したことでかなり衝撃を受けましたが、ニューヨーク・タイムズまでもが自社物件を担保に入れての必死の金策。ビッグスリーは古い経営体質を指弾され苦境に陥っていましたが、高額な給与やコスト感覚のなさという点では、新聞社も同じようなものです。ビジネスモデルを急転換することが難しい業態ゆえ、むしろ深刻ともいえましょう。

さて。

今回も五月雨式に。なんかすみませんね…。最後に自分の近況もちょこっと。

▼いよいよ始まる裁判員制度

裁判員選定の通知が一斉に送付されたことが報じられ、「ああ、そんなこともあったな」という具合に思い出されてきた裁判員制度。「裁判員制度考」というだいぶ前の記事でも書きましたけれど、基本的には直ちに止めていただきたい制度ですね。

国民に開かれた裁判なんか被告人のためにならないし、冤罪や審理の遅延の責任を半分国民に転嫁しようという裁判関係者のプロ意識のなさを露呈させるだけでしょう。裁判員には審理に関する守秘義務が課せられていますが、誰もが匿名でウェブ上に情報発信でき、しかも一度載せたら容易には抹消できない情報環境下で、被告人の重大なプライバシーが曝露されないと誰が保証できるのでしょう。

被告人のための裁判なのに、どんどん、どんどん、被告人の利益が後退していく現状は、何か事件が起きたときに殊更容疑者の「性悪さ」「異常性」を切り取るだけの報道によって、国民の前頭葉が麻痺させられている結果であると強く感じます。

「目には目を」ではないですが、そんな麻痺した世の中を動かすには、やはりそれ相応のショックが必要でしょうね。裁判員に選ばれた人間が、関与する裁判官や裁判員全員を説得し、故意に無実の人間を死刑に追い込み、その過程を詳細に公表するとか…、誰か心ある人はやってみてください。どうなるかは知りませんが。


▼勢いづく田母神氏

むしろ航空自衛隊幕僚長を辞めた後のほうが活き活きとしているとさえ言える「タモさん」です。ネット上での彼の評判は上々なようで、販売部数低迷に悩みネットに活路を見出さんとする右曲がり新聞・産経新聞は、ここに来て超強力なコンテンツを手に入れたわけで(どうもアパグループの懸賞論文の選考委員にも、産経新聞編集委員の人間が含まれていたようですね)、来年以降の企画展開が楽しみです。個人的には、あれくらい色の付いた新聞ってのは、あって然るべきと思いますしね。

「日本は悪い国ではない、良い国だったと言ったらクビになった。そんな話があるのか」と彼は語っていますが、まあそんな単純なことではないにせよ、日本だけが殊更に十字架を背負うような時代ではない。何故なら、偽りの資料に基づく根拠で一方的にイラクという国に侵略し、その国民を何万人も殺していながら悪びれた様子もなく、黒い顔の大統領が出てきては、「そろそろ撤退すっか」と平然とのたまうという、そんな野蛮な国が今の時代もなお存在するからです。なぜ「今」は責められず「過去」ばかりなのか。わしにはよくわからない。

余談ですが先日、九州国立博物館というところに行ってきまして。日本列島およびアジア諸国の歴史・文化展示を常設で行っているのですが、これが非常に良い。石器を持ってマンモスを追っかけ回していた時代、土器を作っては煮炊きを始めた時代、王政が立った時代…と紀元前から史料を詳しく見ていくことができます。今の九州地方と朝鮮半島に点在する遺跡から発掘された当時の生活の品には、類似する点が非常に多い。日本海のこっちでも向こうでも、同じように狩りをして、同じような調理法で食べ、同じような住まいで暮らしていたことがよくわかる。

面白いのは、そういうのを見ているうちに自然と、「日本国民」とか「大韓民国国民」とか「北朝鮮国民」とか、そういう括られ方を超えて、文化的に同じ根(ルーツ)を持つ大きな「われわれ」を意識することができるんですね。

「歴史認識」っていうと、学校でも報道でもいつも「あの戦争」にまつわることばかりだけれども、もっと深くて、大きな視点での認識をみんなで共有できたならば、アジアはもっと強く、欧米など歯牙にもかけない存在になれると思います。ちなみに寺島実郎氏は、日韓・東南アジアを含めた「大中華圏」での経済的なダイナミズムの創出が、これからの日本の経済成長にとって必要不可欠となると語っております(慧眼です)。


▼インドでの同時多発テロ

タイもそうですが、あっという間に恐くて行けない国になってしまいましたね。巻き込まれた日本人の方もいらっしゃいました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

イスラム組織という部分がクローズアップされていますが、あれだけの計画的な行動はかつて見られませんでした。相当鍛錬がなされているわけで、言うまでもないことですが、そのための技術と物資・カネの支援がいったいどこからなされているのか、これを全力で解明する必要があります。

ものすごく感覚的な話をさせていただくと、この事件を知った当時から、なんとなく、これは激変する世界に対して、経済的に恵まれない人たちが抱く言葉にならない鬱積した思いが表出したものではないかと感じていました。リーマンショックに端を発する一連の金融危機と、二次的な経済不安の高まりは、先進国だけでなく、先進国がどっぷりと実体のないマネーを注入した先である、BRICSやインドネシア、ドバイなどの国にも大きな影響を与えました。

彼らの感覚からすれば、一連の金融危機→経済不安はすべてアメリカをはじめとする先進国が引き起こしたもの、という印象が強いのではないか。自分たちとは無関係な意思の働きによって、景気の良いときは巨額のマネーが自国に注ぎ込まれ、悪くなれば国内経済をずたずたに引き裂いて離れていく。「どうして彼らの都合で、彼らの好き勝手にそんなことをされなければならないのか」という怨嗟の声なき声が、インドなどの新興諸国・発展途上国で渦巻いていたとは考えられないでしょうか。

今回標的となった場所が、諸外国から投資マネーやビジネスパーソンが集まるムンバイを舞台に繰り広げられたことも、そのことを暗示しているように思えてならないのです。まあ、すべて妄想ですがね。


▼わしの近況

新居に引っ越してしばらく経ちます。入居後しばらくはカオス状態の部屋でしたが、最近は徐々に人間らしい生活を取り戻しつつあります。ご覧のようにやっとこPCもネットにつながりました。

ただ、寒さ厳しいこの折、ネックなのがエアコンがまだないことであります。まあ電気ストーブやら床暖房やらはあるんですがね。やっぱりエアコンだろうと。年末年始のセール時期に一発買ってやろうと思っているのですが、それまでは今絶好調のユニクロ・ヒートテックのお世話になるつもりです。これを買い求めるときに実感しましたが、過去最高益を上げるだけあって、ユニクロ店内には人が溢れかえっていました。レジであんなに並んだ記憶は未だかつてなかったですね。消費者の節約志向、やはり色濃く反映されているようです。

あとは、懐かしい顔ぶれにばったり再開したり、新しい出会いに恵まれたりする機会が、最近本当に多いです。とてもありがたいことです。こうやっていろいろな人に囲まれる中で、改めて社会の中の自分、社会にとっての自分、そういうものを考えることが多くなったような気がします。

さて、今回はこのあたりで。失礼いたします。
posted by サイダー at 08:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

時価会計の緩和についての雑感


上のニュースについて。アメリカの大統領選がいよいよです。日本の選挙のほうはどんどん当初の見立てと外れていきますが、こっちは11月4日で決まっている。総選挙のほうが後になってしまいました。ただ、今はそれどころではないという気は正直しますね。

さて。

今日の日経新聞の一面トップはこの話題でした。以下、昨日付けのネット記事ですが、参考まで。

日本の会計基準を作る企業会計基準委員会(ASBJ)は16日、金融商品の時価を評価する方法を見直す検討を始めた。米国発の金融危機に伴い、欧米諸国は時価会計を緩和する方針を打ち出している。日本も欧米と歩調を合わせる形で、同様の緩和策を検討する。減損対象となる有価証券を取得時の価格(簿価)で評価できる「満期保有」に振り替えることを認めるほか、値崩れしている証券化商品の評価に関するガイドラインを作る。(10月16日付日経新聞ネット記事より一部抜粋)

欧米でもこういうやり方を導入しようとしているので、追随しないと日系企業の業績が相対的に悪いように見える。というわけで日本でも導入を急ピッチで検討というわけですね。短期の投機目的から「満額保有」目的に切り替えることで、時価評価を避けることを可能にするという話。満額保有だと簿価の評価でよいんですね。

不勉強ですが、この目的は、一度変更すると二度と動かすことができないというわけではないんですよね、きっと。あくまでも今回の経済ショックで抱え込んだ大損をカムフラージュするのがこの措置の趣旨なわけですから。企業も本気で満額保有をしようというわけではなく、市場価格が落ち着いたら、再び目的を切り替えることでしょう。

これはやはりいただけないですね。まず、その企業に対して投資している人たちの、取引の安全性を害してしまう。A社は500億円の有価証券評価損を計上するところ、満額保有目的に変更して、損失が0円になった。B社は評価損が50億円と比較的軽微だったので、目的は変えなかった。これにより見かけ上は、B社よりもA社のほうが損失の少ない健全な企業ということになる。仮にB社よりA社の業績が良いと信じて投資をした人が、後々痛手を蒙ったときに、誰もカバーしてくれる人はいないわけですね。

ただ、投資をする人たちもそこまで素人ではない。こういう制度の変更があったからには、企業の有価証券保有目的の変更について、目を皿にしてチェックするはずです。これは投資家のみならず、融資を行う銀行だってそうするはず。

上述の例では、結局その企業のステークホルダー(利害関係者)は、「仮にA社が保有目的を変更しなかったとき、会計状況はどうなるの?」と聞くことになるでしょう。これはステークホルダーにとって、情報収集にかなり手間をかけさせることになる上、企業の側としても、結局それに答える準備をしなければならず、双方にとって時間や費用のコストが増えることになる。帳簿を二つつけるようなものですからね。

お互いに無駄な労力を使うことになるのは明白なのに、見た目の健全さにこだわるのは、どういうわけだろうか。エンロンが苦し紛れに粉飾決算を行っていたときはあれほど非難したのに、みんなが辛いときは「みんな一緒に粉飾しましょう」とまとまってしまえる世界がすごい。

有価証券保有目的の変更をチェックして知らせるサイトなどを作れば、アクセスも稼げるいい商売になるかもしれません。そんなことくらいしか、いいことないんじゃないかなあという、雑感でございます。
posted by サイダー at 21:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月13日

世界各地の災害についての考察



だいぶご無沙汰でございます。今年の連休は比較的過ごしやすかったと思ったら、最近は寒い日が続いておりますね。私も微妙に風邪気味です。みなさんもお気をつけて。

さて、今回は上のニュースがもろにテーマです。

ミャンマーのサイクロンと、中国の大地震で、いったい何人の命が失われたのか。実はミャンマーの方は最近まで知らなかったのですが、なんと30000人超の死者ですか。中国の地震については新聞で「8600人死亡」と出て目を疑いました。今はもう10000人は越えているようで。これって死者の規模で言えば、イラク戦争の全死者を足した数字とほとんど同じですわね。ほんのわずかな時間であっという間に全てを奪ってしまう。いつの時代も災害は恐ろしい。

以前もインド洋沖地震があって、そのときも大変な人数の方が亡くなりました。日本はもちろん東南アジアは地震が大きなリスクですね。そういえばこの間日本でも夜中に大きめな地震がありましたが、あれも何か関係があったのでしょうかね。ちなみに中東は地震がないそうです。ドバイに旅行に行ったときに、とてつもなく高い塔「バージュ・ドバイ」の建設が進められていて、すでに800メートルくらいに達していました。そのときにガイドさんが「ドバイは地震がないので高い建物でも安心」と言っていたのを思い出します。

中国は北京オリンピックとチベット問題に絡めて、国際社会からさまざまな批判を受けていましたが、ここへ来て同情票が集まって潮目が変わるのでしょうか。少なくとも中国包囲網を敷こうとしていたヨーロッパの陣営は、シナリオの大幅な書き換えを迫られそうです。また、中国国内で不買運動をされていたカルフールやケンタッキー、マクドナルドなんかが敢えて中国で復興のための支援をするならば、これはまた複雑な情勢を呼びそうな気もして面白いですね。

そしてミャンマー。なかなか各国の支援を受け入れようとしなかったことで、国連をはじめ多方面からの非難を浴びることになりました。まあ軍事政権の側からすれば、それはある意味当たり前かもしれません。軍事政権にとっては、国内情報は命綱。地理も人口構成も弱った国の様子も全て外部にさらされ、果てはミャンマー軍がどういう活動をしているのか、災害復興の現場で見えちゃうわけですから、当然軍事に関わる情報管理のために外部の目をシャットアウトしておきたいはず。

さらに言えば、外部からの支援が軍政の支援よりも手厚く行われた場合に、国民が軍政に懐かなくなってしまうことも大きな懸念点でしょう。アメリカが既に多額の支援を表明していますが、アメリカにとってはこれが自国の大々々PRチャンスです。人間なんて単純ですからね。今より高い給料をくれる会社があれば、長年世話になった会社を簡単に辞める人がいるくらいです。自分の暮らしが汲々とした状態のときに手を差し伸べてくれる存在があれば、そこになびくのは当然の道理。次々と首都ヤンゴンに運び込まれる救援物資は、ミャンマー国民の心を軍政から離反させる麻薬でもあります。

そういえば戦国時代の名将・毛利元就は、敵対する尼子家が守る難攻不落の名城・月山戸田城を力技ではなく兵糧攻めによって落としました。食糧を補給する道を完全に塞ぐこと数ヶ月。最後の仕上げに城の風上に大釜を何個も並べ、大量のおかゆを作ったのだそうです。風に乗ってやってくるおかゆの匂いに、城の中の兵士たちは役目を忘れ将軍を置き去りにして、城内から雪崩をうって飛び出してきたのだとか。なんとなく、アメリカがミャンマーに対してやろうとしていることに似て見えてくるのですよねえ。

人道支援も所詮は「政治」。毛利元就は戦国時代切っての知将と謳われていますが、日本の外交にも、そのくらいの深慮遠謀があってもいいでしょうね。
posted by サイダー at 19:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月12日

シー・シェパード問題についての考察


昨年の暮れに、仕事でお世話になっている会社の方からお歳暮で鯨鍋セットをもらいました。結構臭みも強いんですが、これがまたうまい。そんなに食べる機会がないからそう感じるだけなのかな。鯨を食べることが日本古来の文化だとか、そんな大げさなことは考えませんけど、別に鯨食うことをとやかく言わなくてもいいんじゃないかと思う、わたくしでございます。

調査であろうとなかろうと、捕鯨行為を一切許さないアメリカの環境団体「Sea Shepherd Conservation Society」。日本では「シー・シェパード」と呼ばれております。公海上で日本の調査捕鯨船「日新丸」に対して喧嘩を売って一躍有名になりました。彼らの起こした事件により、捕鯨の是非について、またちょっと世間の関心を集めるようになりました。なんかアジアハンドボール連盟の「中東の笛」事件のおかげでハンドボール人気が高まったことを思い出しますね。

そんなシー・シェパード。名前がとにかくカッコイイのと、ちょっと暴力的なワイルドさに惹かれてしまいまして、彼らのホームページを覗いてみました。ぱっと見、結構しっかり作っておりました。写真なんかもあるので見てみますと、彼らの所有している船舶が写っている。真っ黒くて、現代の海賊船っぽくてとにかくカッコイイです。しかも船の旗が骸骨にカギ爪…って、まんま海賊じゃねえか!という冗談なんだか本気なんだかよく分からない、けれどカッコイイという団体であることが伝わってきます。

団体に関するニュースコーナーがあり、日新丸への攻撃についても載っているので見てみました。基本英語なのですが、3月7日18時付けの記事には、素晴らしいことに日本語版リリースが添付されております。さっそく読んでみましょう。

「日本の捕鯨船によるシー・シェパードへの手榴弾による攻撃−三名が負傷」

えっ、手榴弾!?

「15時45分、シー・シェパード スティーブ・アーウィン号と、日本捕鯨船・日新丸との衝突が激化し、日新丸に乗船していた日本の海上保安官がスティーブ・アーウィン号のクルーに向けて手榴弾を投下しました」
「手榴弾の一つがスティーブ・アーウィン号のキャプテン ポール・ワトソンの胸に弾丸は命中しましたが、幸運なことにその弾丸は彼が着ていた防弾チョッキにより食い止められました。弾丸は彼のちょうど左胸、心臓に命中しているところでした」

ううむ…。危うく死んでしまうところだったのですなあ。

「日新丸の日本人クルーはシー・シェパードが捕鯨行為を食い止めるために彼らのデッキに向けて腐ったバターを投げたことに対して、今回反撃してきたのです」

腐ったバター…。意外な事実です。

日本の報道では、海上保安官が撃ったのは「警告用の警告弾」ということになっていますが、彼らの言い分では「(殺傷用の)手榴弾」ということらしいです。また報道で「瓶入りの酪酸」と言われていたものも、彼らが言うには「腐ったバター」であると。

日本側の報道もちょっとバイアスがかかりすぎだけど、シー・シェパードももうちょっとがんばれって感じですかね。手榴弾なのに弾丸が命中とか、防弾チョッキ程度で防がれているとか、ありえんでしょ。あと、腐ったバターはないな(笑)。ちなみに英語の原文を読むと、手榴弾は「flash grenade」となっておりますので「閃光弾」、まあまず警告弾と考えてよいかと思います。どういう誤訳だか…

まあでも良いじゃないですか。カッコイイんだから。自分たちの理想のためにここまでやれるって、たいしたものだと思うのですが、どうでしょう。

ちなみに日本での彼らに対する批判は、@調査捕鯨の是非はともかく彼らの行為が問題というもの、A彼らも問題だし調査捕鯨自体問題ないというもの、B彼らも問題だしそもそも日本の鯨食文化をとやかく言われる筋合いはないというもの、C外国人が日本に対して問題起こしたからなんかムカつくという低レベルのもの、まちまちですね。

個人的には、調査捕鯨とか別にどうでもよくて、鯨も好きに食えばいいじゃないかと思うんですけどね。鯨が絶滅したら、なんか困ることってあるんでしょうか。いなくなって悲しいとか、そういう話でしょうか。生態系が変わってしまうとかいうけど、ずっと変わり続けてきて今があるわけだし。人間が生きていくために守るべき自然環境はあるけど、それに関係ないものであれば、トキでもトラでもなんでも別にあっさり絶滅しちゃっていいと思うんだけど…、こういう考え方は変でしょうかね。

長文になりました。それではまた。
posted by サイダー at 21:29| Comment(4) | TrackBack(1) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月26日

クルド、世界に否定された民族



21日の記事にコソボのことを書きました。その時に、同じく独立を目指す民族としてクルド人たちがいるということを書いた。そしたらたまたま、こういう動きがあったので、ちょっとだけ触れておきます。

「クルド人労働者党」と訳されているKPPは、まあクルド人国家設立に燃える武装集団です。トルコがイラクの国境を越えて掃討作戦を展開しているということは、組織のアジトがそういう辺境の山奥にあるということと、もともとクルド人がそういうところにしか住まわせてもらえなかったという両方の意味があります。

非合法とか反政府とか物騒な名前がついて紹介されているのは、トルコ人が彼らの存在を認めようとしないので、まあ当たり前の話であります。上の記事もトルコ寄りでございますでしょ。

かたや自治区(今は主権国家?)のコソボ、かたや非合法武装勢力という「ならず者」扱いのクルド。セルビアが反対すれば欧米が擁護するコソボと、トルコ軍が国境越えて本気で殺しに来てもアメリカがそれを黙認するクルド。

どちらも長きに渡って体制側による弾圧を受け、民族独立を求め続けてきた歴史を持っているにもかかわらず、こうも扱いが違う。欧米列強にとって都合の良いコマか、そうでないかが運命の分かれ目。それを決める大きな要素は地理的な問題(どの国とどの国にはさまれているか、資源はあるか)であります。

日本も、戦後欧米列強にとって非常に都合の良いコマだったから生かしてもらうことができ、それによって今の繁栄があるわけですな。そう考えると、彼岸の出来事もだんだん他人事とは思えなくなってくる…というのはちょっと無理矢理過ぎでしょうかね(笑)
posted by サイダー at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月21日

コソボ、与えられた独立



コソボ自治州がセルビアから独立することを決めました。今はイージス艦が漁船に衝突した事件が大きく取り沙汰されていますが、こっちも非常に大きな問題。それにしても餃子事件、コソボ独立、イージス艦事件と、アーレイ・バーク級の事件がこうも立て続けに起こるとは。今のはちょっとマニアックすぎるかね。

コソボの問題については、現在はどちらかと言えばコソボ寄りの報道がなされています。けれどまあほとんどが事実報道に近い。国内のことをあれこれいうのは得意なのに、こういうセンシティブな問題のときだけ態度を明確にしないのは日本のマスコミの悪いところですね。

セルビアはもちろん独立を認めない姿勢を貫いていますが、さすがに旧ユーゴスラビア時代に世界からめちゃくちゃに非難されたことが教訓になっているのか、真っ先に「軍事的な手段は用いない」旨表明した。これがアンチ・セルビアのトーンがそこまで鋭くなっていない理由でしょうね。ちなみに英語の教科書にも出てくるくらい有名な「民族浄化」という言葉は、かつて旧ユーゴを悪者に仕立てあげるべく、アメリカのPR会社が作った造語です。

客観的に見ると、どうもコソボの人たちが哀れに感じてしまう。アメリカやロシア、EUと、大国のパワー・ゲームに翻弄されているようにしか思えないからです。このタイミングでのEUの「保護下」での独立。EUにそそのかされたようにしか思えない。狙いは当然ロシア。エネルギー資源を武器に近年飛躍的に経済成長を続け、かつての影響力を取り戻しつつあるロシア。領域内に民族問題を抱えるロシアにとって、コソボの独立は国内の不平分子を活気付かせる悪材料となる。外部から揺さぶりをかけて、勢いづくロシアの足止めをする欧米陣営の意図があると思います。

コソボ「国内」の状態にしたって、国家として独立はできても、経済的な独立ができるようには思えない。当然欧米の支援を受けることになる。これもまあ正義の使者気取りで世界的な印象を良くしながら、バルカン半島でのEUの影響力を強めよう(ロシアの影響力を殺ごう)という意図があるのだろう。

そんなわけで、セルビアの一部であった時よりも明らかに経済状態が悪化するにもかかわらず、「EUから、別の目的を果たすために与えられた」独立を目の前にして喜んでいるコソボのアルバニア人が、哀れで哀れで仕方がない。だからと言って別に独立するなというわけではない。苦難の歴史を歩んできた彼らの目には、それほど民族の独立は尊く映るのであろう。日本人が想像しているより1億倍くらいは。彼らにはきっと覚悟と希望がある。それが客観的に距離を置いてみれば、とても悲しく見えてしまうという、それだけの話だ。

個人的には、彼らにがんばってほしい。できれば、欧米を脅かすくらいの大国になって「恩返し」してほしいと思っている。

ちなみに民族独立の保護者である欧米が絶対に認めようとしないのが中東に住んでいるクルド人である。アルバニア人が200万人程度なのに対し、こちらは2000万人とも3000万人とも言われている。何しろ民族として一つも国家を持たずにイラクやトルコなどさまざまな国に散り散りになっており、しかも多くの人が辺鄙な山間部に住むことを余儀なくされているため、その実数が良く分かっていないのである。

彼らが住んでいる地域を国家として認めてしまうと、地下に眠る莫大な石油資源が丸々彼らのものになってしまい、中東における欧米の影響力行使の妨げになるため、独立は許されないのである。アメリカがイラクに侵攻した際も、イラク国内のクルド人の独立は議論になったが、結局は彼らに政治的な力を与えない方向でことは進められた。

せっかくコソボが話題になっているのだから、これを機会に他のさまざまな民族独立の問題についても、もっと関心が持たれれば良いなと思って書いております。これがマスコミとは違う、個人のブログの役割なのだろうと思っているので。
posted by サイダー at 02:38| Comment(1) | TrackBack(1) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月22日

ゼンジー北京

だいぶご無沙汰です。

先日中国は北京に出張で行ってまいりました。中国は二度目の渡航で、二回とも北京。一度目は学生時代に友人と二人で旅行をし、今回は出張と。たまには上海にも行ってみたいものです。しかし帰ってきたら、黒川紀章が亡くなっていたのと、亀田親子が血祭りに上げられていたので、びっくり。どちらの方にも、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

それにしても北京の街もずいぶん変わりました。一度目に行った時に建設中だった建物が、ばりばり建っていて、街並みも先進的になっておりました。かつては夜大通りを歩くと、物乞いにつきまとわれたものですが、今回はそんなこともない(当時よりお金を持っていそうな格好をしているのだけど)。女性の服装もぱっと見、華やかさが増しおしゃれになっている。

そんな中国・北京で「ほお」と思ったことをいくつか…。


北京ダックに対抗して? 南京ダックという食べ物がある。しかも相当うまい。

中国の携帯電話は、最新のものは質も金額も日本と同等か、それ以上。

中国のケンタッキーは、朝7時から夜11時まで営業している。

そしてケンタッキーの朝のメニューには、あのチキンは売っていない。

売っているのはハンバーガと、おかゆ(笑)

北京では、高級車のアウディが人気。路上でもとてもよく見かける。

万里の長城は、エスカレーターで登頂できる。

北京には、偽ブランドばかり売っているショッピングセンターがある。

そこでは、皆非常にいきいきと偽ブランドを売っている。

そこでは、値札の価格は最終的に数十分の一くらいには下がる。


今回もいろいろなものを食しましたが、向こうの料理は本当においしい。まともな店ならば、ほとんどハズレがない。けれども、一体どんな食材を使っているのかなんて、なかなかうちらにはわからないわけで、そこだけ何となく不安になりました。まあどうやら、日本国内もそれは同じことらしいですけど。
posted by サイダー at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

殺人バイオエタノール

問題解決のための行動が、他の方面で問題をもたらすということの典型。

「バイオエタノール」という言葉を聞いたことはあるはず。サトウキビやトウモロコシなどの植物を利用して生成されたエタノールで、燃料としての利用も可能。もちろん燃やせば二酸化炭素を排出するが、原料となる植物が成長過程で散々二酸化炭素を吸収していることを考慮して、燃焼させても二酸化炭素排出量をゼロと看做してカウントする(カーボン・ニュートラル)。それゆえに、地球温暖化防止に向けた有力な資源として着目され、その生産や、バイオエタノールに対応する製品の開発が進んでいる。

先日、日本の清涼飲料メーカー各社による、オレンジなど果汁100%ジュースの値上げについて報道がありました。原因は、農業国でバイオエタノール原料への転作が進んでいること。オレンジ農家が「こっちの方が儲かる」と、サトウキビに転作を始めたことで、需給のバランス変化によりオレンジの価格が上がったのだと。

原因はもうひとつ甘味料の原料としてのサトウキビ自体の価格高騰もあるでしょう。人の口に入れるより、工場のラインに乗せた方が高く売れる、だから食品としての市場に出回らない。価格も上がるという話。

これまで食料だったものが、原料になってしまった。アメリカなんかは二酸化炭素削減の劣等生なので、これはチャンスとバイオエタノールの活用を急速に進めているよう。日本では「ジュースの値段が上がってしまったぜ」くらいの痛手で済むかもしれないが、トウモロコシなんぞを主食にする国や、貧困の深刻な地域では、それこそ「今日の命をつなぐ食料が買えない」という致命傷になっていくのかもしれない。

工業用にそれらの作物を利用する企業なんてのは、当然技術のある先進国の大企業なわけで、良い値段で、しかも大量に買ってくれる。農家にとっても、自国のしがないマーケットにちまちまと売るよりはよほど経済的だろう。責めるわけにもいかない。

地球温暖化を防止することの目的はいろいろあるが、単純に言ってしまえば、「未来の人類」が生きていけるように、今の地球環境を持続させることに尽きる。そのために二酸化炭素の排出を抑える必要があることも分かる。だからといって、「今生きている人たち」に必要なものを削ってまで、その目的に向かって邁進するというのはどうも、順序が逆な気がするが、いかがでしょうかね。バイオエタノール推進派の人たちにその辺のところを聞いてみたいものです。
posted by サイダー at 12:21| Comment(5) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月23日

フレンチとアスベスト

えーこんにちは。あいかわらず暑い日が続きますね。今日はこんな記事です。

「日本で現在大きな問題になっているアスベスト(石綿)は、フランスでも深刻な被害をもたらしている。民間調査機関によると、アスベスト吸引が原因とみられる死者は年3000〜4000人で、国家が支払う賠償金として2005年は14億ユーロ(1900億円)が予算に計上されている。日本と同様、国や企業の情報開示が乏しく、国民は不安を抱えている。」(23日時事通信社)

かなりやばい数字ですねー。日本より人口少ないのに…。その昔フランスは、「健康上害悪を及ぼすような製品の輸入は認めない」と言って、アスベストを使ったカナダ産の製品を輸入拒否したんですけど、全然自国で使ってるという(笑)

しかし「国家が支払う賠償金」てのが気になりますね。労災とは別の、公害被害の賠償金みたいなのであれば素敵ですね。太っ腹。

アスベストの有害性は90年代には認められ、使用は原則禁止となりました。日本では今現在アスベストを用いて何か作ってる会社はほとんどないはずです。まあそれでも「時限爆弾」なんて言われてますから、これからもアスベスト→中皮腫による死者数は累積していくでしょうねー。


なんて冷静に言ってますが、もしかしたらうちらも吸ってますよ、アスベスト。


うちらが6年間もいた、「小学校」という素敵な建物があったじゃないですか。あれはだいたいが年代モノだし、そういう建物ってめちゃくちゃアスベストが使われてること請け合いです。

もしもそんな建物を新しくするとかで、改修工事をしていたらやばいですね。特にアスベストの害の知識もない中で平気で建物を解体、そしてその脇のグラウンドで遊ぶ子供たち。もうこれでもかってくらい、吸って吸って、吸いまくってますよ。

もちろんアスベスト吸引した人が全員発ガンするわけじゃないですからね。あくまでも確率的にやばさが増すといった程度で。まあ深刻に考えるのはやめましょう。また来世〜
posted by サイダー at 12:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。